このページでは、モノクローナル抗体にまつわる様々な用語を解説していきます。
モノクローナル抗体とは単一のB細胞から作られたクローンの抗体です。特定のエピトープに結合する特徴を持ち、抗体医薬品などで利用されています。
ヒトのB細胞から取得する方法もありますが、多くの場合はマウスを利用して研究が進められています。しかし、標的となる抗原に対して求める親和性、特異性のモノクローナル抗体を得るには、適切な宿主動物や抗体探索技術を選択する必要があります。マウス・ヒトのほかに、ウサギやニワトリ・ラクダなど様々な動物で研究が進められています。
このサイトでは動物種ごとにおすすめの抗体作製受託会社を紹介しています。マウスで上手く抗体が取れないとお悩みの方は参考にしてみてください。
マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製受託会社ガイド
ポリクローナル抗体は1つの抗原に対して複数のエピトープに結合する免疫グロブリンの混合体です。免疫した動物の血液(血清・血漿)から精製します。マウスの他、ウサギ、モルモット、ヤギ、ニワトリなどの動物が用いられます。
モノクローナル抗体と大きく異なる点として、抗原の変化への寛容さが上げられます。モノクローナル抗体は1つのエピトープと結合するため、それが変化すると反応が得られません。ポリクローナル抗体は同一抗原の複数のエピトープと結合するので、変性タンパク質の検出などによく利用されます。
抗体医薬品として利用されるモノクローナル抗体は、マウスやウサギ、ラクダ科動物などの動物から作製しますが、動物が産生する抗体のままではヒト体内で異物と認識されアレルギー反応が起きたり、効果が減弱する可能性があるため、それらをヒトの抗体に近づける必要があります。
動物抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体について解説していきます。
動物抗体は特に改変していないそのままの抗体です。脾臓やリンパ節の中にあるリンパ球(B細胞)を取り出し取得します。
モノクローナル抗体の作製にはマウスが最もよく利用されています。身体が小さく飼育が容易で安価にモノクローナル抗体を作製できる動物種です。最近では完全ヒト抗体産生マウスも開発されその抗体の応用の幅が広がっています。
ただし低分子ペプチドや生体低分子などといった、十分な複雑性を備えていない抗原に対して免疫反応が起こせないこともあります。
ウサギ抗体は近年注目されている動物種です。その理由は、マウス等でなかなか取得できない低分子化合物やペプチドなどに強い免疫反応を示すなど、他の動物種に見られない特徴があるためです。
特に創薬におけるモノクローナル抗体は、標的の抗原に確実に結合することが重要となります。その点ウサギ抗体は、抗原へのアフィニティが高く、マウスの約10倍の結合力を示します。また、B細胞のレパートリーが豊富にあり、特異性の高い抗体が作製できます。
キメラ抗体とは、抗体の可変領域をヒト免疫グロブリンの定常部位に置き換えたものです。マウスの場合、マウス由来の部位が1/3まで削減されたものをキメラ抗体と呼びます。
ヒト化抗体は、遺伝子工学を用いて動物で作成した抗体の抗原結合部位をヒト由来の抗体分子に移植して作製された抗体分子です。マウスの場合はマウス由来の部位が1/10までになります。
完全ヒト抗体はヒト化抗体から完全にマウス由来の部位がなくなった状態です。最近では、完全ヒト抗体産生マウスを用いた抗体作製やヒトのB細胞から直接抗体遺伝子を取得する方法も実用化されています。
モノクローナル抗体はB細胞から取得しますが、その取得・生産方法には様々な手法が確立されています。ここでは一般に広く使われている4つの方法を紹介します。
免疫動物から取得したB細胞を、ミエローマ細胞(がん細胞)などと融合させることで増殖します。
融合方法には様々なものがありますが、プロトプラスト融合を起こさせるポリエチレングリコール法(PEG法)や、電流を使った電気融合法が一般的です。
培養上清の抗体をELISAなどで評価して、目的の抗体を生産するB細胞を特定します。
人や動物などからB細胞を取得し、ウイルスを感染させたり増殖因子を添加するなどして増殖させる方法です。培養上清の抗体をELISAなどで評価し、目的抗体を産生するB細胞を特定します。
培養するときに免疫を獲得させるので、動物の飼育が必要ありません。
シングルセル法は、ヒトやマウスなどの動物種から取得したB細胞を増殖させずに抗体を生産します。セルソーターなどを使って1細胞ずつに分離し、個別にPCRで抗体遺伝子を増幅させ、発現した抗体を評価し目的抗体を取得します。
ライブラリー法は動物への免疫を行わずに抗体を選択する技術です。免疫動物から抗体遺伝子を混合物として取得し、ファージディスプレイなどで解析して、目的の抗原に反応する抗体遺伝子をスクリーニングします。
利用する抗体はマウスやヒトだけでなく、患者由来のB細胞など、様々なものを利用します。動物への免疫をしないので毒性のある抗原を調べたいときに利用できます。
モノクローナル抗体を作製するためには、動物に抗原を注射することで抗体を産生させます。一般的な免疫方法以外の方法について解説します。
腸骨リンパ節への注射で免疫します。なお、マウスの腸骨リンパ節法は重井医学研究所が開発し特許を取得した免疫方法です。
免疫注射後の2〜3週間で細胞融合を行い、4週間ほどで抗体ができたかが判明します。尾根部へ1度だけの注射でよく、脾臓法と比べると約10倍の効率があります。
標的となる抗原のcDNAを含む発現ベクターを作製し、動物に投与することで免疫を得ます。従来の方法では難しかった膜タンパク質などに対する抗体も、DNA免疫法では高い成功率を得られています。
発現ベクターの作成には高い技術力を要します。自社で行うのが難しい場合、受託作製サービスの利用を検討しましょう。
マウスモノクローナル抗体は、取得する抗体の多様性や、親和性・特異性が限定的なこと、マウス疾患モデルで免疫染色を行う場合に問題が生じることがあることなど、いくつもの課題を抱えています。
ここではウサギ・ニワトリ・ラクダ科動物・ヒトといった4種類の動物を中心に、合った目的や特徴について詳しくまとめました。
Google検索で「モノクローナル 抗体受託」と検索した結果より、モノクローナル抗体の取得・探索・作製受託を行う会社・39社を調査(2023年6月7日調査時点)。
日本抗体学会(https://antibodysociety.jp/)に所属している企業の内、対象の動物種からモノクローナル抗体を作製するサービスを提供している会社をピックアップ。
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