ラクダ科動物

ラクダ科動物に属する動物には、アルパカやラマなどのユニークな抗体を持つ動物種がいます。ラクダ科動物特有のVHH抗体は、珍しい重鎖抗体に由来する抗原結合ドメインです。一般的な抗体と比べて、ラクダ科動物のVHH抗体は分子量が小さく、安定性の高さや微生物を用いた低コスト生産が可能なことなどが特徴です。

ラクダ科動物のモノクローナル抗体探索・取得の特徴

珍しい重鎖抗体を保有している

ラクダ科動物の抗体は重鎖抗体といわれ、他の哺乳類にはみられない珍しい抗体です。この重鎖抗体に由来する単一ドメイン抗体を、VHH抗体またはNanobodyと呼びます。

このVHH抗体は、一般的な抗体と比べて10分の1の大きさであり、抗体の機能的な最小単位であることが特徴です。

ライブラリー法による抗体作製が向いている

アルパカやラマなどのラクダ科動物は、マウスやウサギと比較し大型であることから、一般的な研究機関では飼育をすることができないため、抗体を取得するための免疫を行える施設が限られています。そのため、免疫した動物のB細胞からの抗体取得ではなく、可変ドメインをコードするゲノム情報から構築された遺伝子ライブラリーからファージディスプレイやcDNAディスプレイなどの技術により目的の抗体をスクリーニングする方法が一般的です。

マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製
受託サービス会社一覧

VHH抗体の特徴を解説

VHH抗体のイメージ

画像引用元:フナコシ株式会社
(https://www.funakoshi.co.jp/contents/69353)

ラクダ科動物特有のVHH抗体について、その有効性や可能性を解説します。

CDR3領域のアミノ酸配列が長い

VHH抗体には、抗原特異性を決定する重要な部分である相補性決定領域(CDR)がCDR1、CDR2、CDR3の3ヵ所あります。その中でもCDR3は、抗原を認識するうえで重要な領域であり、VHH抗体のCDR3領域は一般的な抗体の約3倍の長さであることが特徴です。

アミノ酸配列が長いことから、酵素表面の凹面にも比較的容易に結合できます。そのため、酵素の基質結合部位を狙った中和活性を必要とする抗体や、活性の調節を行うアロステリック部位に結合する抗体などを効率的に作れる可能性があります。このような特性を持つVHH抗体は有用性の高い医薬品への応用が期待されています。

低コストでの生産が可能

VHH抗体は、一般的な抗体と比べて10分の1と極めて小さな分子量であり、大腸菌や酵母のような微生物発現系で容易に発現させることが可能です。そのため、哺乳類細胞を用いて発現する一般的なIgG抗体と比べ発現の効率性も高く、かつ低コストでの生産が可能となります。

安定性が高い

VHH抗体は、高温や高圧などさまざまな変性条件下からでも天然の構造へ巻き戻りやすいという性質を持つことが特徴です。

熱耐性に関しては、VHH抗体は90度の高温環境でも耐えられるため、室温に戻すことで熱処理前の抗原結合活性を示します。このように、VHH抗体は、pHや温度に対する安定性が高いことや、耐酸性や耐熱性に優れているという特徴を持つ抗体です。この特徴を活用し、さまざまな分野で応用されることが期待できます。

抗体エンジニアリングによる改変や修飾が容易

VHH抗体は、1本鎖のタンパク質でできている抗体です。そのため、他のタンパク質やペプチドと融合することで、新たな機能性が付加された抗体に生まれ変わることができます。多価抗体や多重特異性抗体、薬物・化合物の修飾などの、タンパク質工学的な改変を加えやすいという特徴があります。

抗体医薬の研究においてVHH抗体への注目が集まり、さまざまな分野に応用されることが期待できる抗体です。

抗体取得なら受託サービスの検討を

ラクダ科動物からは取得できるVHH抗体は、他の哺乳類には見られない重鎖抗体に由来する単一ドメインの低分子抗体で、安定性が高く、改変が容易で、低コストでの生産が可能という特徴を有します。

市販抗体や他の動物由来の抗体でお困りの場合はラクダ科動物のモノクローナル抗体作製受託を検討してみてください。

マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製
受託サービス会社一覧

【動物別】
おすすめのモノクローナル抗体
作製・探索受託会社4選

マウスモノクローナル抗体は、取得する抗体の多様性や、親和性・特異性が限定的なこと、マウス疾患モデルで免疫染色を行う場合に問題が生じることがあることなど、いくつもの課題を抱えています。

ここではウサギ・ニワトリ・ラクダ科動物・ヒトといった4種類の動物を中心に、合った目的や特徴について詳しくまとめました。

Google検索で「モノクローナル 抗体受託」と検索した結果より、モノクローナル抗体の取得・探索・作製受託を行う会社・39社を調査(2023年6月7日調査時点)。
日本抗体学会(https://antibodysociety.jp/)に所属している企業の内、対象の動物種からモノクローナル抗体を作製するサービスを提供している会社をピックアップ。

特許技術「Ecobody®」で
高機能ウサギ抗体を迅速に取得
iBody株式会社

iBodyのウサギモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 高い親和性と特異性を活かした免疫染色を実施したい
  • わずかな違いのある抗原を見分け、低分子抗原を高感度に検出したい
  • 高感度な診断薬を開発したい

iBodyのウサギモノクローナル抗体作製の特徴

  • 遺伝子配列に依存せず、高機能な抗体を取りこぼすことなく評価できる
  • B細胞の不死化や培養が不要
  • 最短2日間という極めて短期間で抗体を取得・評価可能

iBodyの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

独自技術「ALAgene(R)」で新たな創薬ターゲットを開拓
株式会社ファーマフーズ

ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 相同性が高く、哺乳類では得られなかった抗体を取得したい
  • IgY抗体を取得したい

ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体作製の特徴

  • 創薬ターゲット分子に対しての抗体作製が可能
  • 同じ性質の抗体を安定的に供給可能

ファーマフーズの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

独自の抗体ライブラリーにより10日前後でVHH抗体作製可能
RePHAGEN株式会社

RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 安定性の高いVHH抗体を取得したい
  • 低分子抗体を取得したい
  • 多価抗体や多重特異性抗体を作製したい

RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体作製の特徴

  • 豊富なライブラリーか最短10日で抗体開発
  • 熱やpHへの耐性がある高安定型ラクダ科VHH抗体を保有
  • 多様性を増大させたVHH提示ファージライブラリーを構築

RePHAGENの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

「Ecobody技術®」で
有用なヒト抗体を取りこぼさない
iBody株式会社

iBodyのヒトモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 医薬品開発に適した抗体を取得したい
  • 感染症の感染者から感染ウイルス等を中和する抗体を同定したい
  • 自己免疫疾患の発症機構を解明したい

iBodyのヒトモノクローナル抗体作製の特徴

  • すべての抗体を発現可能で抗体の取りこぼしがない
  • 病変部位に出現する抗体を収集可能
  • 患者自己抗体の同定が可能

iBodyの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る