マウスなど動物由来のモノクローナル抗体を医薬品に用いる場合、ヒトの体内では異物とみなされることで、安全性や効果の面で問題があります。そのため国内外で承認されている抗体医薬品の多くは、ヒト化抗体に改変され医薬品として使用されています。
一方、最近ではB細胞から直接抗体を取得する方法やB細胞由来のライブラリーから抗体を作製する方法、そして完全ヒト抗体産生マウスの開発など、動物由来の抗体を改変するのではなく、直接的にヒト抗体を作製する技術が開発され注目されています。
ヒトのモノクローナル抗体は、マウスなど他の動物種から取得した抗体とは異なり、ヒト由来の抗体のため、体内で免疫反応を引き起こす可能性が低いことが特徴です。免疫反応を引き起こし、免疫原性がある可能性がある他の動物種の抗体と比べて、医薬品に用いられる抗体として安全性の高さが期待できます。
病変部位に特異的に存在する分子に対する抗体がヒトの体内でつくられる事も知られており、このような抗体は、腫瘍マーカーなど疾患マーカーを識別する特異性の高いプローブとしての応用が期待されます。
また、特異性の高さを活用し、自己免疫疾患や感染症などのヒトの体内で機能する抗体を解析することも可能です。その結果、疾患と免疫の関連性や、疾患の詳しい側面などが明確になるでしょう。
マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製
受託サービス会社一覧
Googleで「モノクローナル 抗体受託」のキーワードで検索し、上位100位までに表示されたサイトから受託会社として公式HPが確認できた55社を抽出しました。その中でヒト由来のモノクローナル抗体に対応し、自社で抗体作製の技術を有するのある企業をご紹介します(2024年1月31日調査時点)。
引用元:iBody公式サイト(https://www.ibody.co.jp/)
iBody株式会社は、抗体の取得に優れた強みを持つ、名古屋大学発のベンチャー企業です。神戸大学の研究グループは、iBody社のEcobody技術によってコロナウイルス(SARS-Cov-2)変異株に対する広域中和抗体の取得に成功しました。
基盤となる技術は、シングルセル技術とセルフリー抗体作製技術で、この2つの組み合わせによって網羅的かつ迅速に目的の抗体を探索できるようになりました。これらの技術に関連して2つの特許を取得しています。
費用 | 成功報酬プラン (B細胞の解析後、選別、Fab抗体の作製、評価、配列解析の実施を推奨したケースに限る) |
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抗原 | ・ヒト病原性ウイルス(コロナウイルス変異株を含む) ・がん組織・がん細胞 ・自己免疫疾患の原因となる物質 |
おおよその必要期間 | 最短1か月程度(動物の免疫期間は含まない) |
納品物 | ・抗体遺伝子と配列情報(10クローン~) ・リコンビナント抗体 |
対応オプション | フル解析~簡易解析 成功報酬プラン |
Ecobodyは名古屋大学で開発された革新的な特許技術です。シングルセル法と無細胞抗体発現技術を組み合わせることにより、最短2日間での抗体取得・評価を実現しました。
従来のようにハイブリドーマを作る必要がないので、増殖過程でB細胞の脱落がなく本来ヒトや動物が持っている抗体の多様性を維持したまま抗体を取得できます。
また、試験管内での反応によって抗体を発現させるので、全ての抗体を一定量発現させることができるため、最短2日間という極めて短時間での抗体取得を可能としたのです。
多様なコロナウイルス変異株に対して中和中和活性を示すヒトモノクローナル抗体を作製
神戸大学大学院医学研究科付属感染症センター臨床ウィルス学分野の研究グループとの研究により、オミクロンBA.5他のコロナ変異株に対して有効なユニバーサル中和抗体の獲得に成功した事例です。
Ecobody技術を活用したことで、多様なコロナウイルス変異株に対して中和活性を示すヒトモノクローナル抗体を取得できました。取得した抗体のうち10分の1の高確率で、強力な中和抗体が取得できたことに満足され、2回目の抗体取得についても依頼している事例です。
参照:Ecobody技術によるヒト抗体探索の成功事例│iBody株式会社
公式HP | https://www.ibody.co.jp/ |
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電話番号 | 052-753-8654 |
引用元:株式会社医学生物学研究所(MBL)公式サイト(https://www.mbl.co.jp/)
1961年に日本で初めての抗体メーカーとして設立された医学生物学研究所(MBL)では、ファージディスプレイ法およびハイブリドーマ法でのモノクローナル抗体取得サービスを提供しています
費用 | 公式HPに記載なし |
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抗原 | リコビナントタンパク質・細胞・ペプチドなど |
おおよその必要期間 | 納期はファージディスプレイ法で7.5~8.5カ月 ハイブリドーマ法で7.5カ月 |
納品物 | 公式HPに記載なし |
対応オプション | 公式HPに記載なし |
現在はミエローマ細胞を用いたハイブリドーマが主流ですが、MBLでは奥羽大学薬学部の山本正雅教授と共同で開発した「SPYMEG」という細胞を利用します。
「SPYMEG」を利用することで効率良くハイブリドーマを作成することに成功。長期間安定して抗体を生産する能力を保持し、大量培養や精製を可能としました。
また、SPYMEGで作製された抗体は人体内で自然に産生されるタイプの抗体であり、治療薬開発、抗体機能の研究、抗原の同定、ワクチン開発など、人間の免疫系に関する幅広い研究への応用が期待されます。
公式HPに記載ありませんでした。
公式HP | https://www.mbl.co.jp/ |
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電話番号 | 03-6684-6860 |
引用元:ジーンフロンティア公式サイト(https://www.genefrontier.com/)
ジーンフロンティア株式会社は、動物を使用せずに大腸菌を用いた抗体作製や、HuCAL®テクノロジーによって抗体を作製している企業です。動物免疫に依存しない方法を用いているため、動物免疫では難しい抗体作製もできます。
費用 | 公式HPに記載なし |
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抗原 | 公式HPに記載なし |
おおよその必要期間 | 公式HPに記載なし |
納品物 | 公式HPに記載なし |
対応オプション | 抗原の調製 抗体作製後の親和性向上 候補抗体の数の増加や抗体の追加調製 など |
モノクローナル抗体作製
受託会社「ジーンフロンティア」の
詳細はこちら
Googleで「ヒト モノクローナル抗体 実験用」のキーワードで検索し、上位50位までに表示された中から、公式HPでヒト由来の抗体製品が確認できた6社をご紹介します(2024年2月15日調査時点)。
なお、ヒト抗体に関しては市販の抗体が広く使用されていますが、市販の抗体がない場合は作製受託サービスがおすすめです。
公式HP | https://www.cosmobio.co.jp/ |
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公式HP | https://catalog.takara-bio.co.jp/ |
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公式HP | https://labchem-wako.fujifilm.com/ |
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公式HP | https://www.funakoshi.co.jp/ |
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公式HP | https://www.cytivalifesciences.co.jp/ |
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公式HP | https://www.ark-resource.co.jp/ |
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ヒトモノクローナル抗体は、動物から取得した抗体と違ってヒトの体内で免疫応答を引き起こす可能性が小さく、医薬品の候補として着目されています。目的に合った市販の抗体がない場合は、ヒトモノクローナル抗体作製受託サービスを利用してみてください。
マウスモノクローナル抗体は、取得する抗体の多様性や、親和性・特異性が限定的なこと、マウス疾患モデルで免疫染色を行う場合に問題が生じることがあることなど、いくつもの課題を抱えています。
ここではウサギ・ニワトリ・ラクダ科動物・ヒトといった4種類の動物を中心に、合った目的や特徴について詳しくまとめました。
Google検索で「モノクローナル 抗体受託」と検索した結果より、モノクローナル抗体の取得・探索・作製受託を行う会社・39社を調査(2023年6月7日調査時点)。
日本抗体学会(https://antibodysociety.jp/)に所属している企業の内、対象の動物種からモノクローナル抗体を作製するサービスを提供している会社をピックアップ。
iBodyのウサギモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ
iBodyのウサギモノクローナル抗体作製の特徴
ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ
ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体作製の特徴
RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ
RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体作製の特徴
iBodyのヒトモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ
iBodyのヒトモノクローナル抗体作製の特徴