マウス

モノクローナル抗体の作製において、最も使われている動物がマウスです。
ハイブリドーマの作製技術も広く普及しており、飼育も容易で安価でモノクローナル抗体を作製できる動物種です。最近では完全ヒト抗体産生マウスも開発されその抗体の応用の幅が広がっています。

一方、その親和性、特異性が限定的であること、低分子抗原など抗原によっては有用な抗体を取得することが難しいことから、近年ウサギやラクダ科動物をはじめとする他の動物種からモノクローナル抗体を取得する技術の開発が進んでいます。

マウスモノクローナル抗体作製の特徴

近年、親和性や特異性の高い抗体を産生するウサギや、低分子抗体VHHを産生するラクダ科動物などが注目されていますが、技術的な難易度の高さもあり、モノクローナル抗体作製技術が確立されてから現在まで、最も使用されている動物種はマウスです。

低価格でのモノクローナル抗体作製が可能

モノクローナル抗体を作製する上で最も一般的なハイブリドーマ法に適しており、その技術は広く普及しています。モノクローナル抗体の作製を委託できる企業も多く、他の動物種と比較し安価でのモノクローナル抗体作製が可能です。

飼育がしやすい

古くから実験動物として利用されてきたマウスは哺乳類の中でも小さく、狭い空間で飼育することが可能です。ウサギやラクダ科動物と違い一般的な研究施設での飼育が容易であることはマウスを用いるメリットになります。

抗体のデザイン技術が確立

マウス抗体ではキメラ化、ヒト化などの改変やIgGのサブクラススイッチの技術が確立されており、モノクローナル抗体を応用する上での抗体のデザインがしやすいというメリットがあります。

適切な免疫応答が起こらない場合がある

メリットも多いマウス抗体ですが、低分子ペプチドや生体低分子など十分な複雑性を備えていない抗原に対して免疫反応が起こらない場合もあります。

MoM(マウスオンマウス)の回避が必要な場合がある

マウスモノクローナルは、時にMoMを避けるために工夫が必要になる場合があります。抗原以外の物質との結合による偽陽性や染色プロセス中の背景ノイズを増加させるなど、実験の正確性が担保されなくなる可能性があるためです。

マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製
受託サービス会社一覧

マウスモノクローナル抗体の作製方法

研究用ツールとして利用されることの多いモノクローナル抗体はさまざまな動物種から取得されますがマウスから取得することが最も一般的です。

ここからはマウスモノクローナル抗体の作製方法について紹介します。

ハイブリドーマ法

モノクローナル抗体を大量生産ができる作り方です。抗体を作り出すことはできるが寿命があるB細胞と、無限に増え続ける能力を持つミエローマ細胞を融合させることで、特定の抗体を増殖させることができます。

腹腔免疫法

マウスの腹腔内に抗原を注射することで免疫を誘発し、B細胞を取得する方法です。B細胞取得後はハイブリドーマ法を用いて抗体のスクリーニングとクローニングを行います。

リンパ節細胞法

腸骨リンパ節を使用する作り方です。従来の脾臓を用いる方法の約10倍の効率で、免疫に必要な抗原量も少なくて済みます。また、陽性ウエルからのクローニング成功率が高い技術(特許第4098796号)です。

マウス以外の動物種からの
モノクローナル抗体作製こちらから

ここまで最も一般的に応用されているマウスモノクローナル抗体の作製について解説してきました。
しかしながら、マウス抗体には親和性や特異性が限定的である、低分子抗原に対する抗体ができにくいなどの課題も多くあります。

本サイトではマウスでは取得が難しいモノクローナル抗体を取得できる動物種やその技術についても紹介しています。

マウスで取れない抗体が見つかる
モノクローナル抗体作製
受託サービス会社一覧

【動物別】
おすすめのモノクローナル抗体
作製・探索受託会社4選

マウスモノクローナル抗体は、取得する抗体の多様性や、親和性・特異性が限定的なこと、マウス疾患モデルで免疫染色を行う場合に問題が生じることがあることなど、いくつもの課題を抱えています。

ここではウサギ・ニワトリ・ラクダ科動物・ヒトといった4種類の動物を中心に、合った目的や特徴について詳しくまとめました。

Google検索で「モノクローナル 抗体受託」と検索した結果より、モノクローナル抗体の取得・探索・作製受託を行う会社・39社を調査(2023年6月7日調査時点)。
日本抗体学会(https://antibodysociety.jp/)に所属している企業の内、対象の動物種からモノクローナル抗体を作製するサービスを提供している会社をピックアップ。

特許技術「Ecobody®」で
高機能ウサギ抗体を迅速に取得
iBody株式会社

iBodyのウサギモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 高い親和性と特異性を活かした免疫染色を実施したい
  • わずかな違いのある抗原を見分け、低分子抗原を高感度に検出したい
  • 高感度な診断薬を開発したい

iBodyのウサギモノクローナル抗体作製の特徴

  • 遺伝子配列に依存せず、高機能な抗体を取りこぼすことなく評価できる
  • B細胞の不死化や培養が不要
  • 最短2日間という極めて短期間で抗体を取得・評価可能

iBodyの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

独自技術「ALAgene(R)」で新たな創薬ターゲットを開拓
株式会社ファーマフーズ

ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 相同性が高く、哺乳類では得られなかった抗体を取得したい
  • IgY抗体を取得したい

ファーマフーズのニワトリモノクローナル抗体作製の特徴

  • 創薬ターゲット分子に対しての抗体作製が可能
  • 同じ性質の抗体を安定的に供給可能

ファーマフーズの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

独自の抗体ライブラリーにより10日前後でVHH抗体作製可能
RePHAGEN株式会社

RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 安定性の高いVHH抗体を取得したい
  • 低分子抗体を取得したい
  • 多価抗体や多重特異性抗体を作製したい

RePHAGENのラクダ科動物モノクローナル抗体作製の特徴

  • 豊富なライブラリーか最短10日で抗体開発
  • 熱やpHへの耐性がある高安定型ラクダ科VHH抗体を保有
  • 多様性を増大させたVHH提示ファージライブラリーを構築

RePHAGENの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る

「Ecobody技術®」で
有用なヒト抗体を取りこぼさない
iBody株式会社

iBodyのヒトモノクローナル抗体は
こんな目的におすすめ

  • 医薬品開発に適した抗体を取得したい
  • 感染症の感染者から感染ウイルス等を中和する抗体を同定したい
  • 自己免疫疾患の発症機構を解明したい

iBodyのヒトモノクローナル抗体作製の特徴

  • すべての抗体を発現可能で抗体の取りこぼしがない
  • 病変部位に出現する抗体を収集可能
  • 患者自己抗体の同定が可能

iBodyの公式サイトで
抗体作製受託サービスを見る